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SALA MAYA III  人類学博物館 マヤ室 III
マヤ室は1階( Planta Baja =グランドフロアー)の他に地階があり、地階は地下の墳墓の展示です。  1階にまだ古典期後期 のものが残りますが、先に地階へご案内しましょう。 階段を降りると地下墳墓、洒落てます。
パカル王の墳墓  Cripta funeraria de Pakal II
古典期の代表的な遺跡 パレンケ の碑文の神殿から、1952年にパカル王(在位 615-683AD) の墳墓が手付かずで発見され一躍世界中の脚光を浴びました。

神殿上部から地下に繋がる階段が見つかり、階段を降りていくと最後にこの墳墓に突き当たった訳ですが、現在遺跡を訪問しても この地下階段はもとより、碑銘の神殿自体登ることができません。 マヤ室に墳墓の複製が設けられ、副葬品も全てこちらへ移されて いるので、墳墓を見るのは現地ではなく人類学博物館で という事になります。 マヤ室の一番の目玉です。
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 (Reproducción de Cripta Funeraria de Pakal II)

墓室内部の壁面彫刻を含めて 墓室と石棺が実物大に再現され、石棺の後方と横に作られた のぞき窓から見下ろします。  ここにある翡翠のマスクは複製品。

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 (Máscara funeraria de Pakal II)

実物は地下通路に展示して有ります。 マスクは翡翠片を繋ぎ合わせたモザイク状のもので、目は白い貝と黒い黒曜石で作られ、 発見当時バラバラになっていたものが復元されています。 近年復元がやり直された為に古い写真と見比べると若干様相が異なります。  (左上の写真をクリックすると、2000年 8月に撮った再復元前のマスクの写真が開きます。 見比べてみて下さい。)

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 (Cabezas de estuco de Pakal II y las ofrendas de jadeita)

墓室からは漆喰で作られたふたつの頭部が発見され、トウモロコシの神に扮したパカル王(写真上左)と若い頃のパカル王(上中) とされます。 副葬品は貴重な翡翠の細工品を中心に 900点にのぼり、パカル大王の絶大な権力を物語っています。 

パレンケ遺跡には併設の博物館があり、石造物、漆喰、陶器を始め見るべきものも多いですが、パカル王の副葬品は丸ごとこちらに 移されています。 遺跡で碑銘の神殿を見たら、こちらマヤ室で墳墓の確認が必須です。

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 (Máscara funeraria, Calakmul)

翡翠は貴重であり翡翠のデスマスクとなると何処にでもあるというものではありません。 パレンケ以外ではメキシコではパレンケと並び 古典期マヤの一大センターだった カラクムル のマスクが有名で、メキシコ以外ではティカルにはありますが、コパンでは発見されていません。

写真はカラクムルで発掘された翡翠のマスクのひとつですが、これは2001年にカンペチェ市の考古学博物館に展示されていました(写真右)。  その後このマスクは人類学博物館の仮面修復プロジェクトにより全面的な修復が施され、全く異なる容貌に変身しています。

修復プロジェクトではカラクムル他、メキシコで発見されている翡翠の仮面を最新の技術で修復を行い、その成果は、2011年8月から始まった マヤ特別展 「聖なる王の素顔」 で広く紹介されています。 メキシコ市での展示会の後、イタリア・ナポリ、モレリア、プエブラ、グアダラハラ、フランス・パリ と海外を含めて各地で展示会が継続され、2012年11月からは新装なったカンクン・マヤ博物館で継続中のようです。 この 特別展の模様は グアダラハラでの展示会 を詳報してあるので、そちらを参照下さい。  


シバンチェの墳墓  Ofrendas a la tumba de Dzibanche
キンタナ ロー州の シバンチェ でも 1994年に古典期前期の墳墓が ピラミッドの下から発見され話題になりました。 シバンチェは文字資料が少なく歴史はあまり解明されていませんが、副葬品は墳墓が密封されて いた為に完璧な状態を保っており、マヤ室地下でパレンケの手前に展示されています。
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 (Recorte vertical de la tumba)

シバルバ広場のミミズクの神殿にあった墳墓で、断面図でわかるようにパレンケの碑銘の神殿の墓室と似た構造です。 パレンケより100年は古い ものになりそうです。 下は神殿の名前の謂れとなったミミズクの取っ手のついた多彩色容器です。

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 (Ofrendas de la tumba de Templo del Búho, Dzibanché)

副葬品は工芸的にも優れたもので、それぞれの出土品の説明は シバンチェのページ を参照下さい。 2014年1月訪問時にはこのショーケースはがらんどうで、収蔵品は別の博物館や、特別展 に持ち出されていました。 今後新しくできたカンクンのマヤ博物館へ移されるのかもしれません。


マヤ室の裏庭  Jardín detrás de Sala Maya
マヤ室には裏庭があり、古典期の特徴的な建物が復元されています。 実物ではありませんが 忠実に復元されているので、一見の価値ありです。
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 (Reproducciones de Estructura 2 de Hochob, y Estructura 35sub de Ek'balam)

庭に出て直ぐ正面が写真左の カンペチェ州ホチョブの建造物 2、典型的な チェネス様式 の建造物です。 右手前に写真右の ユカタン州エクバラムの建造物 35sub が復元されており、これは 2000年にかけて発掘された初代王 ウキット カン レック トック の霊廟で、壁面全面に立体的な漆喰彫刻が施された他に例を見ない見事なものです。

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 (Reproducción del Templo de las Pinturas, Bonampak)

更に右奥に極彩色の壁画で有名な ボナンパックの壁画の神殿 が壁画ごと復元されています。 壁画の複製は実物と比べると綺麗過ぎますが、こちらの方が何が描かれているのかは良くわかります。  でもその分情緒に欠けますが。

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 (Reproducción de Estela y Altar de Guatemala, Estela E y Altar P de Quirigua)

裏庭にはグアテマラのキリグアやピエドラス・ネグラスの石造物の複製も置かれています。
これらは叩いてみると中空の張りぼて。 (^-^)


古典期マヤの交易  Comercio de Maya clásico
マヤ室の1階に戻り、古典期マヤの交易です。 古典期マヤは建造物、装飾品、神聖文字等を見ても、マヤが一番繁栄した時代と言えます。  博物館での展示も大雑把に言って半分強が古典期 特に後期のもので、マヤ室 III のページも古典期後期で終わってしまいそうです。
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 (Articulos intercambiados, recuperados de Xcambó)

カリブ海沿岸の交易都市 シュカンブ から回収された交易品がまとめられて います。 シュカンブは海に近く、良質の塩を産出し、海運の要衝でもあった事から、古くから交易都市として栄えました。

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 (Pluma de Quetzal, semillas de cacao, artículos ornamentales y hachas de bronze)

盗掘から世に知られる事になったシュカンブからは交易されていた商品のストックが回収され、当時の交易の一面を垣間見る事が 出来ます。 メキシコ中央高原の黒曜石、マヤ中部低地のケツァールの羽、南部高地の翡翠を始めとして、土器、金属器、カカオ豆、 塩等、様々なものが交易されたようです。

写真は左から、ケツァール の羽 とカカオの実、貝と 翡翠の装飾品、銅器です。


その他の展示品  Más articulos exhibidos de Clásico Tardío
古典期後期の展示品がまだあります。 残りをまとめて紹介しましょう。 下の写真に見えるように 室内にプーク様式のサイール 大宮殿の一部が復元され、その1階部分には展示ケースが設けられています。
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 (Reproducción de El Palacio, Sayil y las vitrinas de las piezas pequeñas)

サイール大宮殿 の1階入口を支える円柱の奥に展示ケースが見えますが、以下展示ケースを右から左へ順に撮りました。

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 (Exhibición de los articlos pequeños)

写真上段右が展示ケースの一番右になり、上段、中段、下段の順に展示ケースが左側に続きます。 小さな展示物が多く到底全ては 説明し切れませんが、以下主だった展示品を見てみます。

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 (Cabezas estucadas de los deidades)     (Marcadores de Juego de Pelota, Toniná y Chinkultic)

展示ケース右から神々の塑像が並び、写真左から2番目はトニナ出土のジャガーの神です。 右側の2枚の写真は球戯場のマーカーで、 右から2番目はトニナ出土、一番右がチンクルティック出土です。 共に神聖文字が刻まれて年号が読み取れますが、詳細は 球戯場のページ で。

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 (Figurillas : Jugadores de Pelota, Orador, ..., Flauta)

小像が沢山陳列されていますが、左の二つは球戯の競技者を模ったもの、真ん中は演説者とも踊り手とも言われる躍動感溢れた小像、 右から2番目は太鼓を叩いているようです。 一番右は鳥の彫刻がついた笛。

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 (Las Flautas y las Silbatos)

展示ケースの左には色々な形をした笛が並べられています。 3本の管を束ねた笛もありますが、どんな音楽が奏でられていたのか 興味深いところです。

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 (Los ladrillos de Comalcalco con diversos motivos)

展示ケース左側の壁に模様の描かれたレンガが 18枚展示されています。 独特なレンガの文化を発達させたマヤ最西端 タバスコ州コマルカルコ のもので、特に横顔や家屋が描かれた ものは当時の様子が窺い知れて貴重です。 レンガが用いられた建造物はコマルカルコのページで。


1階の展示フロアにもう少し目ぼしい展示品があります。 もう6点紹介して古典期後期のページを終わりにします。

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 (Dintel inconcluso)            (Columna esculpida, Oxkintok)

左の石碑はカンペチェ州南部からとありますが、人物像を取り巻く四角い枠には文字が刻まれていません。 未完の石碑のようです。 古典期 後期となっていますが石碑が未完に終わった時代ですから、古典期後期の終わり若しくは古典期終末期のものかもしれません。

右の石造物は オシュキントックのチック宮殿 の入口を飾った柱です。  鳥の衣装をまとった人物像の柱で、建物は初期プーク様式でした。

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 (Plato con dibujo original)         (Vaso estilo códice, Calakmul)  (Brasero de Chinkultic)

左は ケツァールかサルが渦巻状の尾と共に描かれたユニークな大皿 (45cm) で出所不詳です。 中央はカラクムル出土の絵と文字が 描かれた壷、右はチンクルティックからの火鉢(火を焚いた壷?) で高さ 77cm の大きなものです。



これで古典期後期のページは終了。
マヤ室最後の第四部は古典期終末期と後古典期です。 画像  画像