ESTILO ARQUITECTÓNICO
マヤの建築様式
マヤは長い年月にわたり 異なる地域で 繁栄し続けた為に、遺跡で目にする建造物にも様々な様式が認められます。
様式を知る事で 遺跡の時代性、地域性・地域間交流などの理解が容易になり、遺跡訪問の際には基本知識となります。
マヤの時代区分と地域性を確認し、異なる建築様式を整理してから、其々の 建築様式を 3部に分けて 写真と共に見ていきます。
時代と地域の確認 Periodos y Regiones
マヤ遺跡で目にする建造物は 古いもので紀元前後位から新しいものはスペイン人到来前までと、1500年位の幅があります。 古典期や 後古典期と呼ばれ、それぞれ前期、
後期等に分けられますが、詳しくは
遺跡の時代区分を参照下さい。
地理的には、地形、気候等から北・中・南部に分けられ、それぞれ 北部低地、南部低地、南部高地とも呼ばれます。 北・中・南部の境界は
資料によって多少異なりますが、およそ下の地図 (arqueologia 特別号3 p.76-77 の区分) の如くです。
建築様式の分類 Clasificación de diferentes estilos
分類方法も研究者によって異なりますが、ここでは arqueologia 特別号2 p.80-81 を参考に 9つの
様式に分けました。 遺跡名は代表的な遺跡です。
【 マヤの建築様式 1 】
中部ペテン地域 Región Petén Central Tikal
南東地域 Región Sudoriental Copán
北西地域 Región Noroccidental Palenque
ウシュマシンタ地域 Región Usumacinta Yaxchilán
【 マヤの建築様式 2 】
プーク地域 Región Puuc Uxmal
リオ・ベック地域 Región Río Bec Chicanná
チェネス地域 Región Chenes Hochob
【 マヤの建築様式 3 】
北東平原地域 Región Planicies Nororientales Chichén Itzá
東海岸地域 Región Costa Oriental Tulum
ESTILO ARQUITECTÓNICO I
マヤの建築様式 1
ペテン中部地域 Región Peten Central
始めに中部地域(南部低地)の
ティカルに代表される 中部ペテン地域、いわゆるペテン様式です。
まだ充分調査されていないグアテマラ 北部国境近くの
エル・ミラドール遺跡 等
更に古いマヤ遺跡もありますが、石造りで建築様式として分類されるマヤの最も古い ものがペテン様式です。
Tikal Templo I ティカル1号神殿(左)と Templo II 神殿2の模型。 (チェトゥマル マヤ文化博物館)
この様式では、急勾配のピラミッド基壇上に神殿が築かれ、神殿上部には漆喰装飾の施された屋根飾りが取り付けられます。
Tikal Templo III ティカル3号神殿(左)、 Templo I 1号神殿の上部(中) と
Templo 1 1号神殿全景。
屋根飾りは高く厚みがある重い構造物で、神殿前部の開口部へかかる重量を軽減させる為、神殿屋根の後方に置かれました。
神殿側壁も厚く頑丈な造りです。
Tikal Templo II ティカル2号神殿上部 と 復元模型の屋根飾り。
写真の通り 屋根飾りは崩壊が甚だしいですが、往時は復元模型にあるように全面に 人物像や仮面などの漆喰彫刻が施され、色鮮やか
に彩色されていたようです。 神殿上部の外壁(ファサード)はやや手前に傾斜しています。
Edificio #53, Acrópolis Central 中央アクロポリス 53号建造物(右)
と天井部分のマヤアーチ。
ペテン様式の建造物は一般に壁が厚く、室内は狭く、天井の低いマヤアーチを持ち、仕切り壁は装飾の無い簡素なものでした。
写真は中央アクロポリスの宮殿で、2階建ての横に長い建造物は貴族の住居として使われたようです。
Cuaratos abovedados en Grupo G y Edificio #65 de Acrópolis Central
マヤアーチの室内。
写真左はグループG の室内で 厚い壁を持ち奥に三角の窓があります。 右は中央アクロポリス 65号建造物の内部で、梁に彫刻が施されて
いました。
ペテン様式はペテン中部地域とベリーゼからカンペチェ、キンタナロー州の南部までその影響が認められます。
南東地域 Región Sudoriental
マヤ南東端にあたる
コパンを中心とした南東地域様式です。
Juego de Pelota, Copán コパン球戯場
(チェトゥマル マヤ文化博物館)
この様式の特徴は建造物はもとより、マヤ神聖文字が刻まれた質の高い記念物が数多くある事があげられます。
Escalera Jeroglífica de Edificio 26 神聖文字の階段。 Estela D de 18 Conejo 石碑D。
Escalera Jeroglífica 建造物 26 の神聖文字の階段。 Decoración en la Fachada 外壁の彫刻装飾。
石碑、階段、建物の外壁などに見られる彫刻は彫りが深く、他の追随を許しません。 マヤのアテネと言われる所以です。
Pasillo de arco falzo y techo abovedado de Edificio10
10号建造物に見られるマヤアーチの通路と天井。
建物の壁は厚く、部屋はこじんまりしていますが、美しい階段状のマヤアーチは印象的です。
Decoración de Edificio 8N-66S y Grupo Sepullturas 建物の外壁を飾る様々な装飾。
この様式の特徴として、石の彫刻や漆喰で装飾された外壁もあげられますが、壁毎に趣向を凝らした様々なモチーフは
その都度新鮮です。
南東様式はコパン周辺からエル・サルバドルにかけて見られるそうですが、飽くまで中心はコパンです。
北西地域 Región Noroccidental
ウシュマシンタ地域 Región Usumacinta
チアパス州東部、グアテマラとの国境を流れるウシュマシンタ川沿いの
ヤシチランを中心とした様式です。
Maqueta de Edificio 33, Yaxchilán ヤシチラン 33号建造物の模型。
(チェトゥマル マヤ文化博物館)
この様式ではピラミッド基壇を築かず自然の隆起の上に直接神殿が設けられました。
格子状の前後二層になった高い屋根飾りを持ち、壁が厚く開口部の狭い建造物で屋根飾りを支えました。 二層で格子状になっていますが、
高さを求めた為に屋根飾りは重くなり、開口部は狭くなったのでしょうか。
Edificio 33 de Yaxchilán ヤシチラン 33号建造物。
博物館の立体模型は当時の形に復元してありますが、現在の 33号建造物は写真の通り かなり傷みが激しく、木々に囲まれた小山(写真左)
を登っていくと屋根飾りが半分なくなった神殿(写真右)が姿を現します。
Crestería de Edificio 33 33号建造物の屋根飾り。
屋根飾り下の壁面上部は全面に装飾が施され人物像が3体嵌め込まれていたようです。 石材が嵌め込まれていた窪みがあり、
装飾は石材をベースに漆喰で仕上げられていた様子がわかります。 格子状の屋根飾りにも中央下部に人物像が1体嵌め込まれて
いました。
Dintel 26 y 48 石板 26号、48号。
ヤシチランは数多くの素晴らしいた石碑で知られますが、建造物にも開口部の鴨居下や脇柱内側に彫刻の施された石板が嵌め込まれて
いました。 左の 26号は 23号建造物の入口を飾っていたもので、現在は人類学博物館に展示されています。
Decoración en estuco de Edificio 21 21号建造物の壁面装飾。 Boveda
天井のアーチ。
写真左は 21号建造物内部を飾った壁面装飾で、漆喰で盛り上げた上に彩色された見事なものでした。 座った貴族が5人描かれます。
ヤシチランは熱帯雨林の密林の中にあり、建造物はかなり痛んで内部装飾共々保存も難しそうです。
【 マヤの建築様式 2 】 はプーク、リオ・ベック、チェネス 各様式です。