TEOTIHUACAN
テオティウアカン
マヤ文明にも大きな影響を与えたテオティウアカン。 メキシコ市内から日帰り可能で写真も沢山撮ってあり、 メキシコ州にある遺跡ですが、独立させてテオティウアカンのページを設けました。 3部に分けて詳報します。
TEOTIHUACAN I
月のピラミッドから見た死者の道と太陽のピラミッド (Vista desde parte superior de Piramide de Luna)
テオティウアカンの歴史は紀元前に遡りますが、太陽と月のピラミッド、ケツァルコアトルの神殿等が完成して街の整備が進んだ 200AD 頃から、人口が増大した 650AD 頃までが絶頂期と言えるようです。 テオティウアカンの滅亡については、過度の 人口流入を支えきれなかったとか、旱魃等の天変地異、或いは疫病等、諸説がありますが、8世紀には街は火災の痕跡を残し、 滅亡の途を辿りました。
2004年8月に撮った写真です。遺跡の地図が綺麗になっていました。 (Plano del sitio)
地図に沿ってテオティウアカンの各所を紹介していきます。まず地図の南半分から。
メキシコ市から高速で来るとシウダデーラの1番入り口 (PUERTA 1) 前のロータリーにでます。
CIUDADELA ①
シウダデーラ(城砦)
1番入口を入り北の死者の道を望む。 西側から城砦を登ると正面に祭壇とピラミッド。
矩形の基壇を形作る城砦、西の城壁から南方向。 城砦内広場南寄りの建造物1Bに残る壁画。
城砦の北側からケツァルコアトルの神殿を望む。 ケツァルコアトルの前神殿から西方向。
TEMPLO DE QUETZALCÓATL ②
ケツァルコアトルの神殿
見事な装飾彫刻が残るケツァルコアトル神殿。 四面にあった彫刻も、前面以外は写真の通り。
羽毛の有る蛇の神 ケツァルコアトル。 ゴーグル(?)をつけた雨の神、トラロック。
ケッツアルコアトルとトラロックが交互に並びます。 最近は修復中で前神殿の上から眺め下ろします。
前神殿から北側の城砦越しに月と太陽のピラミッドが見えます。 手前は発掘調査中。
CALZADA DE LOS MUERTOS③
死者の道
RÍO SAN JUAN ④
サンフアン川
城砦西側から北の月のピラミッドへ延びる死者の道。 今は見過ごしてしまいそうな小川です。
EDIFICIOS SUPERPUESTOS ⑤
多層の建造物
漆喰に彩色が残る下層の建造物。 彩色のある建造物は屋根の下です。
幾何学模様の彩色が鮮やかに残るパネル。 左のパネルは階段の右側です。
PLAZAS EN CALZADA DE LOS MUERTOS ⑥
死者の道に連なる広場
死者の道の南側は広場が連なり、少しずつ登っていきます。 左の写真左端は終点の月のピラミッド。
PLAZA OESTE ⑦
西の広場
西の広場にも漆喰彩色と彫刻が残ります。 彫刻は蛇とジャガーがあります。
同心円の彩色が並ぶ階段。 立派な蛇の彫刻があります。
PALACIO DE TETITLA ⑧
テティトゥラ宮殿
遺跡主要部を取り巻く外周道路の外側にある テティトゥラ宮殿、興味深い壁画が多く必見です。
宮殿内部の中庭に状態の良い壁画が多くあります。 緑のトラロックの壁画。
神殿に跪いて進むジャガー人間。 トラロックの拡大、両手から宝石を降らせている。
心臓を貪り食う被り物をつけたジャガー。 手形と紋章の壁画、戸の中にあります。
PALACIO DE ATETELCO ⑨
アテテルコ宮殿
テティトゥラの更に外側にあるアテテルコ宮殿。 白い中庭にはジャガーや戦士の壁画が残ります。
白い中庭 (Patio Blanco) に残る彩色神殿。 壁面上部は修復専門家が入念にレタッチしています。
下部のパネルはほぼオリジナルです。 人物像、口から出た渦巻きは声を発している。
痛みが激しいですが、テパンティトゥラ宮殿の「トラロックの天国」と同じ壁画もありました。
PALACIO DE ZACUALA ⑩
サクアラ宮殿
テティトゥラの北のサクアラ宮殿。 あまり人が来ないので係員不在で入場不可の場合が多いです。
PALACIO DE YAYAHUELA ⑪
ヤヤウエラ宮殿
テティトゥラ北側にあるヤヤウエラ宮殿、何度か行きましたが常に閉鎖中。 写真は外からです。
LA VENTILLA ⑫
ラ ベンティーリャ
1番入口の南、外周道路の外側に興味深い住居跡がありますが、2006年3月時点でまだ未公開です。
TEOTIHUACAN II
2部は北側、太陽と月のピラミッドがありテオティウアカンの一番ポピュラーな所です。
でもまず穴場のテパンティトゥラ宮殿から。 外周道路の外側でツアー客はまず来ません。
PALACIO DE TEPANTITLA ①
テパンティトゥラ宮殿
正面の建物に極彩色の見事な壁画があります。 「トラロックの天国」と呼ばれる壁面です。
「トラロックの天国」の中の蝶狩り。 実際の大きさはタバコと比較して下さい。
四人がかりで一人の手足を引っ張って何をしている? 手を繋いで腰を屈めて遊んでいるようです。
青い山は水、水から出てタオルを絞っている人も。 枝を振り涙を流して叫んでいるのは雨乞い。
花とサボテンも描かれています。 棒を持って球技に興ずるトラロカン。
歯の治療。メキシコ自治大学歯学部の紋章です。 柱に有るトラロック、多彩色です。
全面的に修復されました。2003年1月の写真。 壁画の赤はサボテンに寄生するカイガラムシから取った染料で、緑の手形サボテン に付着した白いのがカイガラムシです。
種蒔きする司祭の壁画。 「トラロックの天国」の部屋を抜けた中庭にあります。
宮殿跡の各所に壁画が残りますが、これは「赤いトラロック」。
PIRÁMIDE DEL SOL ②
太陽のピラミッド
太陽のピラミッドへは2番入り口から入り、土産物屋の並ぶ参道を進んでいきます。
死者の道沿いの壁の向こうに広場がありそこからピラミッドが聳え立ちます。 高さ 66m。
1905-10年の大修復は不正確と言われますが、一部オリジナルの部分が顔を覗かせます。
PINTURA DEL JAGUAR ③
ジャガーの壁画
死者の道沿いのジャガーの壁画、見難いですが左の写真で緑の覆いがついたところです。 新たに築かれた建造物で覆われていた為に、 鮮やかな彩色が残りました。
TEMPLO DE LA AGRICULTURA, ANIMALES MITOLÓGICOS ④
農業神殿
農業神殿からは興味深い壁画が発見されていますが実物はボロボロ。隣の建物からは神話上の動物 を描いた壁画が見つかっています。 後述の壁画博物館参照。
CONJUNTO DE LOS JAGUARES ⑤
ジャガーの館
3番入り口から月のピラミッドへ向かう途中にあり、状態の良いジャガーの壁画が残されています。
見逃しがちですが異なるジャガーの壁画や彩色された階段も残されています。
TEMPLO DE LOS CARACOLES EMPULMAD0S ⑥
羽毛のある貝の神殿
ジャガーの館の先に羽毛のある貝の神殿があり、柱には彩色された花の彫刻が施されています。
そして羽毛のある貝の彫刻も。 神殿下部のパネルには全面にインコの壁画が施されています。
CONJUNTO DE QUETZALPAPÁLOTL ⑦
ケツァルパパロトルの館
月の広場沿いのケツァルパパロトルの館。 幾何学模様の彩色が残ります。
中庭の四方の柱にはケツァールが彫刻され 屋根飾りも修復されてます。 周りの部屋には壁画も。
これがケツァールの彫刻、右は同じ写真の拡大。大分図案化され
本物のケツァール
とは異なりますが。
PIRÁMIDE DE LA LUNA ⑧
月のピラミッド
さて、月のピラミッドが最後になりました。 死者の道から見た月のピラミッドです。
ピラミッドの天辺は石をセメントで固めゴツゴツしていますが、ここからの眺めは最高、絶好の撮影ポイントです。
RESTAURANTE LA GRUTA ⑨
洞窟レストラン
テオティウアカンを徹底的に見ようとすると1日がかりです、外人観光客には洞窟レストランがお勧め。
週末には歌と踊りがあります。 レストランの駐車場横に野外劇場がありますが新しいもののようです。
テオティウアカンを更に理解する為に遺跡に博物館があり、壁画博物館も新設されています。 3部で市内の 国立考古学博物館を含めて、テオティウアカンからの出土品を紹介します、一部ですが。
TEOTIHUACAN III
太陽のピラミッド南にある②遺跡併設博物館に加え、月のピラミッド西の外周道路外側に 2001年頃 ①壁画博物館が新設されました。 メキシコ市の人類学博物館展示物を含めて、テオティウアカンからの出土品を一部ご紹介します。
MUSEO DE LA PINTURA MURAL ①
壁画博物館
農業神殿にあった壁画、右に綺麗な復元模写が。 「神話上の動物」の壁画のオリジナル。
「神話上の動物」の拡大写真。 帯の間に奇妙な動物や鳥が描かれています。
オーストラリアから返却されたテチナンティトゥラ(Techinantitla)から盗掘された壁画もあります。
太陽のグループからの壁画、両手と動物の首で飾られた貝。 右は貝と水生動物。
種蒔きをするトラロック(左)と 虎の爪の人の壁画、サクアラ宮殿から。
建物を描いた壁画、羽毛のある貝の神殿から。 壁画博物館の周りにも建物跡が点在します。
MUSEO DEL SITIO ②
遺跡併設博物館
焼き物の建物飾り、典型的な鳥の図案です。 トラロックが彫刻された建物の外壁。
遺跡主要部の立体模型があり、ガラスの向こうに実物の太陽のピラミッドが見える粋な趣向です。
ケツァルコアトルの神殿横で発見された生贄の埋葬が再現され、貝製の副葬品もあります。
多彩色のトラロックの壷。 右はサクアラ出土の多彩色の土器、以前は人類学博物館にありました。
祭祀用の多彩色の装飾土器、香炉? 博物館の外には彫刻された建物の部分が集められています。
MUSEO NACIONAL DE ANTROPOLOGÍA
国立人類学博物館
人類学博物館の看板のトラロック。 500AD 頃の 太陽のピラミッドを飾っていた装飾円盤。
石像で、167トンあり1964年にテスココのコアトリン 光輪の中の頭骸骨の口から舌がでている。
チャンから移送されたもの。 人身御供若しくは太陽の死と関連付けられます。
ラ ベンティーリャで発見された球戯場のマーカー。 農業神殿の壁画の複製。壁画博物館に実物が
テオティウアカンでは球戯場が見つかっていませ ありますが、ボロボロ。 この複製で図像が読み
んが、一体何処にあったのでしょう。 とれます。
テオティウアカン様式の彩色三足土器。戦士が 大きな耳飾、蝶の鼻飾りを付けた仮面。
手にしたナイフに心臓、との解釈もありますが。 葬送用に用いられた?
水の女神 チャルチウトリクェの石像。 左は 2000年にシウダデーラの入り口にあったもの、右は人類
学博物館。 同じものでしょうか、それとも二つあるのでしょうか?
テオティウアカンは何度も足を運び、愛着があるのでつい長編にしてしまいました。 (^-^)