CUATRO REYES
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CASA DE LOS CUATRO REYES

                「四人の王の家」 - バラムク
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    (Modificada en base de foto de fish-eye)

バラムク遺跡の漆喰彫刻は修復されて保護の為に上部建造物が再建されており、目の前の漆喰彫刻を狭い通路から撮影する事になりいつも苦労させられます。 遺跡の詳細は 遺跡のページ に譲り、 このページでは漆喰彫刻の写真撮影について説明してみます。

  (訪問日 2017年 1月25日)
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建物 I-A と I-A sub   Estructura I-A y I-A sub
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漆喰彫刻は 1990年に発見されましたが、これは発掘修復された当時の写真で、Arqueologia Mexicana #18, 1996 で紹介されていたものです。 この状況なら写真も撮り易いのですが、そうもいきません。

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        (Estructura I-A)

漆喰彫刻が施された建物は古典期前期頃に建てられ I-A sub と呼ばれますが、その後 I-A が I-A sub を覆う形で建てられた為に破壊を免れます。 盗掘者により再びその姿を現す事になりますが、現在は保護の為に I-A が再建され、漆喰彫刻は写真の建物 I-A の中に保存されます。

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      (El interior y la entrada a I-A sub)

I-A は南を向いており、西側に見学者用の入口が設けられていて(写真右)、お目当ての漆喰彫刻はこの中(写真左)です。 被写体はすぐ目の前ですが後ろに壁が迫り、この狭い通路から写真を撮る事になりますが、彩色された漆喰を守るために照明は無く、 屋根と壁にある小窓からの自然光が頼りです。

これまでの写真  Fotos 2002 - 2017
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         (Cybershot, Jan. 2002)

2002年に初めてバラムクに来た時はコンデジだったので、こんな写真が精一杯、後は部分写真ばかりでした。 コンデジでは如何せん画角が足りません、 最近のコンデジはかなり性能が上がっているとは思いますが。

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      ( = 27.2mm, EOS30D + EF17-40, Nov. 2006)

2度目の 2006年、一眼レフに 17mm レンズで臨んだのですが、結果はこの程度。 カメラが APSC の EOS30D でしたから 17㎜ レンズでも実際の画角は 27.2mm で、全体をカバーするには足りません。

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  ( = 17mm, EOS5DII + EF17-40, Nov. 2013)

2013年には前回の反省を踏まえて、フルサイズの EOS5DII を持っていきました。 画角は 17mm ですから、戸口から奥まで何とか見渡せました。 でもここで問題になるのは内部の暗さで、その日の差し込む光の強さにも寄りますが、写真がブレないぎりぎりのシャッタースピードになるよう カメラ設定が必要で、更に奥行きもあるので絞りもある程度上げないといけないので厄介です。

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  ( = 16mm, EOS6D + EF16-35, Jan. 2017)

今回手ぶれ補正のついた 16mm ズームレンズを持って再挑戦。 4段分の手ぶれ補正なので、カメラ設定の自由度が上がります。 超広角で少し歪みが気になりますが画角的には満足いく結果でした。

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  ( = 17mm, EOS5DII + EF17-40, Nov. 2013)
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  ( = 16mm, EOS6D + EF16-35, Jan. 2017)

奥の方から入口に向かって撮った写真を 17mm と 16mm で比べてみました。 たった 1mm の差ですが、違いが実感させられます。

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  ( = 16mm, EOS6D + EF16-35, Jan. 2017)

風景写真が目的ではなく、飽くまで図像を正確に見る為の撮影ですから、正面からの写真が重要です。 16mm で後ろの壁に張り付いて正面を狙うと 何と王の頭から下のカウアックまで納まりました。 16mm の威力抜群です。 17mm でもカメラを縦に撮れば済む話ですが、 やはり左右の広がりは嬉しいです。


正面からの写真   Fotos de frente
と言う事で、以下正面から撮った漆喰彫刻の写真です。

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  (Friso de Cuatro Reyes, de izquierda a derecha)

入口に近い1枚目の写真だけ 2013年に撮ったやや斜めからのものになりますが、それ以外は 16mm で今回正面から撮ったもので、 この4枚で左から右へおよそ全体をカバーします。

壁面上部(帯状の部分)に4体の大地の怪物が表され(一番左の怪物は左半分が失われています)、 大地の怪物の上に開いた割れ目からカエルやワニの水生動物が現れ、ここから塔状の屋根飾りが伸びて水生動物の上に玉座に座った王が表わされる、 というパターンが4回繰り返されます。

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      (Jaguar atado central)
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      (Jaguar atado del lado derecha)

大地の怪物、水生動物、王 と言う組合せはの間は捕虜の姿をしたジャガーのモチーフで繋がれます。 一番左のジャガーは頭の辺りが一部残るだけですが、 中央と右側のジャガー像はほぼ作られた当時の姿を残し、縄を打たれた生け贄のジャガーが見てとれます。

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      (Cauac y animal acuático, de izquierda a derecha)

帯状の壁面上部の細長い窪みの中に表される大地の怪物はそれぞれに異なる図像で、中央の2体は正面を向き、右側の怪物は中央に正面が描かれて 左右に横顔が追加され、4体はそれぞれが東西南北の方角を表すそうです。

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  (Serpiente devorando ave a la izquierda y serpiente con boca vacía a la derecha)

中央のジャガーの両脇に左右の大地の怪物の部分が見えますが、怪物の口から現れた蛇が左は鳥を貪り、右は口が空になっているのがわかります。

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             (Rey sobre animal acuático)

王は中央の2体しか残りませんが、水生動物の上に座った王の写真を正面から撮りました。 カエルと蛇の違いがよくわかると思います。

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             (Detalle del Rey)

左から3番目の王の姿が一番よく残されており、クローズアップしてみました。 少しだけ王の表情が見て取れますが、 他の王の顔はどんな表情をしていたのか、残念ながらもう知る術がありません。 でもこの1体だけでも頭飾りや首、胸飾り、 また腕のポーズなど当時の姿を伝えてくれるのはうれしい限りで、黒い線の描写も残されます。


魚眼撮影  Fotos de fish-eye
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             ( = 8mm, EOS5DII + EF8-15, Nov. 2013)

2013年に撮った魚眼写真を見返してみました。 8mm 全周魚眼は面白いだけで、あまり意味を為しません。

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  ( = 10mm, EOS5DII + EF8-15, Nov. 2013)
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  ( = 10mm, EOS5DII + EF8-15, Extendida horizontalmente)

魚眼ズームで焦点距離を変えていろいろ撮ってありましたが、10mm で撮ったものを直線重視で加工してみると何と興味深い写真に。 トリミングすると使えそう。

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  (Recorte de la parte central)

周囲をカットして壁画部分をトリミングしたのがこの画像です。 普通のレンズでは正面からの全体写真は絶対無理ですが、 こんな裏技を使うとそれなりに正面からの全体写真になりました。 下の模写と比べるとどうでしょうか、 当然歪みますが実際の写真でそれなりに全体の雰囲気が出せたと思いますが…。

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   (Dibujo de reconstrucción del friso)


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このページではバラムク遺跡の「四人の王の家」 について、写真撮影を中心に説明を加えましたが、遺跡全体と漆喰壁画の詳細は バラムク遺跡 のページを参照ください。



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